平成30年12月14日に公布された「建築士法の一部を改正する法律」の施行が令和2年3月1日と決まりました。
これによって、令和2年の建築士試験から、緩和された新しい受験資格に基づく建築士試験がスタートすることになります。
改正の背景とは
現在、一級建築士のうち、約65%が50歳以上となっています。
30代の若手の割合は10%程度、20代に限っては全体の1%しかいません。
このまま時間が経ちベテラン建築士が業界から引退してしまうと、建築士の人数は一気に不足してしまいます。
試験問題の難易度は難化傾向にあり、受験者数は年々減少傾向にあります。
国の基盤を担う建築士が足りなくなってしまっては、
国民の生活や経済活動に支障をきたしてしまう恐れがあります。
そこで今回の法改正では試験の裾野を広げ、若手の建築を志す人材を早期に確保する為の緩和の改正となっています。
それでは具体的な改正の内容を見ていきましょう。
実務経験に関する緩和
大学⇒一級建築士
建築基準法法14条一号では一級建築士の受験資格を定める旨が記載されていますが、
そこから実務経験にかかる記述が削除されたため、令和2年3月に大学を卒業した方は、7月の一級建築士試験を受験できるようになりました。
今までは在学中に二級建築士の勉強をし大学卒業年に資格取得、
2年の実務経験を経た後に一級建築士の資格取得が最短ルートでしたが、
今後は在学中から一級建築士の資格勉強をし、卒業年に受験する流れになりそうです。
高校⇒二級建築士⇒一級建築士
法14条二号で二級建築士についても実務経験に係る記述が削除されたため、
二級建築士は実務経験がなくても一級建築士の試験を受けることができます。
たとえば、高校を出てすぐに二級建築士試験に合格した場合、実務経験2年で二級建築士の免許を取得すれば、
最短20歳で一級建築士試験を受験できます。
その後実務経験を4年積むことで一級建築士の免許を受けることが可能です。
免許登録要件
いままで受験資格とされてきた要件が新たな免許登録要件となります。
実務経験は試験の時期にかかわらず通算での勘定となる為、より柔軟に試験に臨むことが可能となりました。
【例:大学卒業⇒一級建築士取得の場合】
- 大学卒業⇒実務経験2年⇒受験合格⇒免許
- 大学卒業⇒実務経験1年⇒受験合格⇒実務経験1年⇒免許
- 大学卒業⇒受験合格⇒実務経験2年⇒免許
- 大学卒業⇒大学院在学中に受験合格⇒実務経験2年⇒免許
設計製図試験の受験タイミングの緩和
従来、一級建築士の学科試験に合格した方は、その年の設計製図試験のほか、翌年、翌々年の設計製図試験について学科試験が免除されていました。
令和2年からの学科試験に合格した方は、その年を含めて、5年以内に実施される設計製図試験のうち、3回を自由に選択して学科免除で受験することができるようになります。
たとえば、令和2年の学科試験に合格した場合、令和2~6年の設計製図試験について3回までは学科免除で受験することができます。
これは凄く有難い緩和ですね。
初年度の設計製図受験者はどうしても過年度生より圧倒的に製図の学習時間が短くなってしまいますから、
これからは学科と製図試験を分けて受験し万全の状態で製図試験に臨むことができます。
戦略的に2年がかりで挑む試験になりそうですね。
まとめ
この改正がきっかけになり、20代30代の一級建築士受験者がもっと増えるといいですね。(そう言っているりょたまるもまだ受験生の一人ですが。。)
建築士の需要は無くなることはありませんので、これから受験する方にとってプラスの改正という事は確かです。
独立の為には必要不可欠の資格ですので20代のうちに取得して今後のキャリアへとつなげて行きたいですね。
実務で僕もお世話になっているのがこの本。一冊持っておくと便利です。
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